ふたつのさくら

「……ずっとあなたが妬ましかった。嫌いだった。殺したいほどに、憎かった。」

ごめんなさい、咲良さん……。

「……もう、僕に関わらないでください。さよなら。」

「っ、待って!さく……」

電話を切って、携帯を手放す。

布団に潜った。

襖が勢いよく開く。

菖蒲は布団を剥がしながら、声を荒らげた。

「おい朔羅!あれ本気かよ?!」

本気?あれが?

「本気なわけないだろ!!」

自然と涙が溢れてくる。

「嫌いなわけ、ないじゃないか……!」

本当は嬉しかった。

たった1人の教室で、優しく笑いかけてくれた人の存在が、とても嬉しかった。

今日までずっと隣にいてくれたあの子が、大好きだった。

今、僕が泣かせてしまった咲良さんのことが、死ぬほど愛おしい。

なんでも、は、してあげれないから、せめて僕のことを忘れて、幸せになってほしい。

こんなに好きなのに、他に方法が見つからなかった。

「これで、本当に終わったんだ……!結局僕は……あの子のなにひとつ守れずに、終わるんだ……!!」

……そんな自分が惨めで、情けなくて、申し訳なくて……大嫌いだ。