ふたつのさくら

――――――――――――

……声が聞こえる。

映像が見える。

これが俗に言う幻覚や幻聴なんだなと、ぼんやりとする頭で考えた。

急に背中に衝撃が走った。

「っ、ゴホッ……オ゙エ゙ッ……」

たまらず吐き出す。

黄色い胃液に混じり、いくつもの小粒の物体が出てきた。

あぁ……吐いちゃった。

でもまだ大丈夫だろうと、目を閉じる。

まだ声が聞こえる。

一体誰の声なんだ。

聞き覚えのある女の声と、聞き覚えのない男の声。

女のほうは苦しげに呻き声をあげていた。

薄く目を開ける。

男が女に馬乗りになってなにか話していた。

あれ?女……女の子、見覚えあるかも……。

でも幻覚だしな……。

男が女の子の首を絞め始めた。

あのままじゃ女の子死んじゃうな。

助けてあげたいけど、もう動けない……。

『朔羅……!』