ふたつのさくら

「怖いよ!なんなのこれ!もうやだ……」

「朔羅、息吸って。」

かろうじて、菖蒲の声は聞こえた。

言われた通り、吸う。

うまく吸えない。

「今度は吐いて。」

息を吐こうとしてるのに、出てくるのは声ばかりで吐けてる気がしなかった。

だけど菖蒲はこう言った。

「はい、よくできました。布団行こうか。」

そうして、菖蒲にしがみつくようにして泣く僕を軽々と持ち上げて、布団に向かった。

菖蒲は僕の手を離そうとはせず、一緒に布団に横になる。

「寝ていいよ。ここにいるから。安心して、おやすみ。」

頭を撫でてくれた。

ずっとずっと、撫で続けてくれた。