ふたつのさくら

……もう、どうすればいいか分からない。

咲良さんに話すべきか、話さないべきか。

どっちにしても、咲良さんの負担になってしまう。

僕が、咲良さんを縛り付けてしまう。

ごめんなさい。

僕はあなたに出会わなければよかった。

あのときの僕が、あなたを羨まなければよかった。

「普通」なんて望まなければよかった。

死にかけたときに、そのまま死んでいればよかった!

もっと早く、消えていればよかった!!

生まれてこなければよかった!!!

……大切なものなんて、作らなければよかった。

「ふっ、ぅぅ……」

いつぶりだろうか。

こんなに涙が出てきたのは。

「ご飯が食べれない」なんていう些細なことで、死ぬほど苦しくなるなんて、異常なんだろう。

でも僕には、そんなこともわからなかった。

わからないほどに、精神が摩耗していた。

「もう……殺してくれ……!はやく、逃げさせて……!」

何もできない、何者にもなれない。

ただ咲良さんに笑ってて欲しかっただけなのに。

それすらも満足にできない。

こんな僕なんて、いらない。

最初から、いないほうが良かったんだ……。

菖蒲は何も言わず、ずっと背中をさすってくれた。

これほどまでに「死」を望んでいるのに行動に移さないのは、移せないのは、その手があるから。

変わっていく自分が怖くて、何もできない自分が嫌で、たった1人の大好きな人すらも守れない自分が憎いのに。

それらを全部包んでも余りがあるほどの、大きな手があったから。

「菖蒲ぇ、まだ、咲良さんといたいよ……!なんで、なんで僕なんだよ!もうたくさんだ!我慢するのも、頑張るのも疲れたよ!」

机を叩いた。

バンッ、と大きな音が鳴る。

手が痛かった。

あぁ、まだ生きてるんだ。