ふたつのさくら

正直いらない。

でもそんなこと言ったら、余計に悲しませることになる。

昨日も、一昨日も、ろくに食べていない。

かろうじて水と薬は飲んでいた、ってか飲まされたけど、固形物は食べていない。

ただでさえ軽かった僕の体重は、今、さらに軽くなっているだろう。

病的なくらい。

自分でも分かっているんだから、菖蒲がそれを分かっていないわけがない。

だからああやって食べやすいうどんやお粥を作ってくれるわけで……。

「……頑張るよ。」

答えて立ち上がる。

動けるときは動いたほうがいい。

出来ることをやらないのは、ただの怠惰だから。

菖蒲は不機嫌そうな顔になる。

無理して動かなくてもいいのに、とか思ってそう。

「……テーブル出すのに。」

思ってたわ。

その呟きを無視して椅子に座る。

それを確認して、菖蒲が口を開いた。

「……またあとで来るから。食べれるだけ食べな。」

「ああ。」

菖蒲が外に出て、部屋には僕1人だけになった。