ふたつのさくら

「……朔羅?!」

椅子に座っていたはずの朔羅が倒れていた。

苦しそうに、胸を押さえて。

それだけならいい。

よくはないけど、割とよくあることだから。

でも今日のはなんか違った。

顔面は真っ白で、呼吸も浅く速い。

かと思えば深く吸って少し止まって短く吐く、なんていう不規則な呼吸をしていた。

荷物をその場に投げ捨て、急いで近づき、抱き上げる。

走った後かと思うほど全身はぐっしょりと濡れていて、体温もかなり高かった。

「朔羅!おい、朔羅!!分かるか?!」

「……」

反応がない……。

だけど、変な呼吸音は聞こえているし、心臓もちゃんと動いている。

かなり速いペースではあるけど。

怪我してる様子もないし。

ただの気絶……なら安心だけど……。

何にしても、今日は無理だな……。

「あれ……?にぃに、どうしたの……?」

俺の声で起きたのか、目をこすりながら凍夜が言った。

朔羅を持ち上げて、凍夜の横の布団に静かに寝かせる。

凍夜の頭を撫でた。

「大丈夫だよ。寝てるだけ。」

「そっか……。」

凍夜はそう言って、朔羅の空いているほうの手を握って、また横になった。

「……凍夜、あんまりここにいちゃ朔羅も休めないから、向こう行こうか。」

凍夜は悲しそうな顔をしながらも、頷いて朔羅から手を離そうとした。

しかし、朔羅がそれを許さなかった。

「兄さん?」

「……ごめ、とや……くが……いた、から……」

……また言ってる。