ふたつのさくら

「それでは、僕らはこれで失礼します。また明日、学校で。さようなら。」

「ああ、本当にありがとうございました。また明日な。」

返事を聞いて、僕と菖蒲は外に出る。

人の目がなくなった瞬間緊張の糸が切れて、視界がぐらつく。

地面に倒れそうになったところを菖蒲に支えられた。

「おっと……無理しすぎだ。」

「……ごめん、菖蒲。」

ただ妖怪を祓うだけなら、切ればそれで終わりだから、こんな風にはならない。

だけど、今回みたいに既に取り憑いているものを引き剥がすとなると、抑えてる力を解放することになるからこうなる。

「……歩けるか?」

既にふらふらな僕を気遣っての言葉だ。

「……あぁ。肩だけ、貸して……。」

菖蒲はじっと僕の顔を見た後、無言で僕の腕を自分の首にかけて、膝の裏に手を入れて僕を持ち上げた。

俗に言う、お姫様抱っこってやつだ。

「ちょっ!菖蒲!」

疲れ切った声で抗議するとすぐに降ろしてくれたが、不機嫌そうな顔だった。

「嘘言わない。」

「……」

足が全く動かないことなんて、菖蒲にはお見通しだった。

「あと朔羅軽すぎ。ちゃんとご飯食べてんの?」

しっ……けいな!

「食べてるよ……だから菖蒲よりは身長高いし。」

「なんだとぉ!?そんなこと言うなら置いてくぞ?」

え、それは困る。

「菖蒲?!置いてかないで、ください!もう、疲れて倒れそうなんだから、連れて帰って!」

動かない足を無理やり動かして、先に行こうとする菖蒲にくっつく。

菖蒲は足を止めて僕の方を振り向き、超絶いい笑顔で言ってきた。

「なにか言うこと、あるよね?」

人の笑顔ほど、怖いものはない。

「背低いとか言って、すいませんでした。」

「よろしい。」

そう言ってまた、お姫様抱っこしてきた。

何?好きなの?お姫様抱っこ。

それとも彼女できないから僕で妥協してんの?

なんか複雑ー。

そんなこと言ったらまた置いてかれるので絶対言わないけど。

だけど……。