ふたつのさくら

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昨日、朔羅に半ば強制的に眠らされて、少し体が楽になった。

起きたら朔羅は机に突っ伏して寝ていたが、まぁ、そのままでいいか。

時計を確認すれば、朝の6時。

朝ごはん、作るか。

そろそろあいつらも何かしらは食べれるようになってるだろう。

俺が台所に向かおうとすると、玄関から声が聞こえた。

先にそっちに向かう。

「はいよー。」

扉を開けると、お嬢が立っていた。

横には奏美もいる。

「あれ?お嬢、おはよう。こんな早くにどうしたんだ?」

「おはようございます、菖蒲さん。これ、届けに来ました。」

お嬢はそう言いながら手提げ袋を渡してくる。

中身を確認すると、朔羅の勉強道具だった。

あーね、あいつ全部学校に置いてったんだね。

「ありがと。渡しとくよ。」

朔羅が気づくと危ないから、もう扉を閉めようとすると、お嬢が焦ったようにもうひとつ、袋を渡してきた。

「あああと、これ。皆さんで食べてください。」

「へ?」

反射で受け取る。

「それじゃ、またあとで来ます……。」

そう言って、お嬢は帰ってしまった。

奏美も一礼して、それに続く。

俺はその場で袋の中見た。

「お、うどんか。ちょうどいいな。」

お嬢、よく分かってるな。

玄関の扉を閉めて、台所にそれらを置く。

紅葉さまにはあとで持っていくとして、2人は起こすか。

おろしうどんらしく、お嬢から貰ったそれらを全て盛り付けてから、朔羅の荷物を持って、部屋に向かった。

襖を開けて、中の様子を見る。

その場の光景に、肝が冷えた。