ふたつのさくら

「あれぇ?またバラバラになっちゃった。」

かき揚げがうまくまとまりません。

最初はいいんだけど、菜箸でひっくり返しているうちに具材がバラバラになっちゃう。

だからってひっくり返さないと、生っぽくなるし……。

困っていると、真琴さんが声をかけてきた。

「咲良さま、これを使ってはいかがでしょう?」

真琴さんが渡してきたのは網じゃくし。

あー、確かにそれならバラけさせずにひっくり返せそう。

「ありがとう!」

受け取って、試しに使ってみると。

あら不思議!さっきまでまとまらなかったのが嘘のように、綺麗なかき揚げができました。

そのままタネがなくなるまで揚げて、続けてかしわ天も作る。

かしわ天はそれほど苦労しないで作れた。

あとは大根をおろして……。

「……よし。今日やる分は終わったかな?」

それぞれタッパーに詰めたものを冷蔵庫に入れる。

あとは明日、うどんを茹でて、つゆを作って、持っていけば完璧!

パパッと後片付けを済ませて、真琴さんに向き直った。

「ありがとうございました。また明日の朝も、少し借りていいですか?」

「ええ。好きなだけ、お使いください。」

真琴さんは笑顔で答えてくれた。

よかった。

みんなに挨拶をして、失敗したやつをお父さまに押し付けて、私は部屋に戻って布団に入った。