ふたつのさくら

台所には私と、お手伝いをしてくれる使用人の真琴さん。

奏美は私を家に届けたあと、またすぐに徒野邸に戻ったからここにはいない。

そして……。

「……ねぇ、なんでいるの?」

私はなぜか後ろのほうに立っている、お母さまとお父さまに声をかけた。

「咲良が料理する姿を見たいからよ。」

「そうそう。俺は作ってもらえないんだから、作ってる様子を見るくらいいいだろ?」

謎理論……。

暇なときならいつでも作るけどね。

「……はぁ。邪魔しないでね。」

それだけ言って、2人に背を向けた。

今から作るのはかき揚げとかしわ天。

うどんは明日茹でて、つゆもそのとき一緒に作るつもり。

だから大根だけ下ろせばオッケー。

……てなわけで作り始めたのはいいんだけど……。