ふたつのさくら

部屋の中に風が吹き荒れ、目を閉じる。

今日は3本。

人格がちょっと歪むくらいか。

頭を握り潰されるような痛みが出てくる。

平気だ、まだ耐えられる。

目を開けて、狛犬の姿を探す。

もう娘の上にはいない。

そいつは首から尾を離していて、怯えたように部屋の隅で震えていた。

俺はそいつの方に向かって歩き、真っ二つに切る。

そいつはなす術もなく切られ、光の粒となって消えてしまった。

目を閉じて、意識を引っ張り出す。

「っはぁ……はぁ……」

床に倒れ込みそうになるのを気力で耐える。

刀を納めて、壁に手をつきながら寝ている少女の方へ向かい、様子を見た。

脈を測り、呼吸を確認する。

どれも正常。

若干熱が高い感じはするが、すぐに下がるだろう。

「はぁぁ……よかったぁ……」

床に倒れ込み、目を閉じる。

呼吸が荒い。

ゆっくり、ゆっくりと、吸って吐いてを繰り返し、やっと本当に自分が帰ってきた。

起き上がり、部屋の外に向けて声をかけた。

「岡崎さん、終わりました。」

扉がそっと開く。

岡崎先生と、目を覚ましたらしい菖蒲が顔を覗かせた。

そんなに時間をかけたつもりはないけど、遅かったかな?

「もう入ってもらって大丈夫ですよ。しばらく安静にして、問題なさそうだったら学校も行けます。」

立ち上がり、ふらつくのを堪えてそう言った。

岡崎先生はそれを聞いて、ものすごい勢いで部屋に入り、少女の様子を確認した。

「……よかった。」

しみじみとそう言って、僕の方を向き何度もお礼を言った。

菖蒲が僕の肩に手を置く。

「ありがとう、徒野。本当に助かった……。」

「いえ、僕はやるべきことをやっただけです。ここまで耐え抜いたその子を労わってあげてください。」

僕がそう言うと、先生は愛おしそうに少女の頭を撫でた。