ふたつのさくら

またぼーっと時間を過ごしていると、奏美が部屋に入ってきた。

「お嬢様、そろそろ行かないと、遅刻しますよ。」

「……うん。」

椅子から立ち上がる。

……ん?遅刻?

時計を見る。

8時少し前。

「え?!ちょっと時間経ちすぎじゃない?!」

海琳学園は8時10分までに着席していないと、遅刻扱いになる。

ここから学校まで歩いて20分ちょっと。

全力で走っても間に合うかどうか……。

「なんでもっと早く呼びに来なかったのよ!」

自己責任です。

咲良さん、それは責任転嫁って言うんですよ。

……すいません!

「ちょ!お嬢様、落ち着いてください!」

慌てて家から飛び出そうとする私を、奏美が止めた。

「お嬢様の部屋の時計、10分進んでます!」

「……へ?」

そうだっけ?

……いや

「だとしてもじゃない?!」

……てな感じで、沈んでた気持ちが少し薄れた。