ふたつのさくら

……次の日、携帯を確認する。

朔羅からの返事はまだなかった。

いつものように学校に行く支度をする。

朔羅は休むだろうけど、それは私が休む理由にはならない。

荷物を全部持って部屋を出ると、ちょうど部屋に入ってこようとする奏美と鉢合わせた。

「奏美、どうしたの?」

「お嬢様、おはようございます。今日ですが、帰り、少し学校で待っていてください。」

その場で頭を下げて言ってくる。

「坂の上までお迎えに上がりますので、絶対に1人で帰ろうなんて思わないでくださいね?」

う……1人で帰れるのに……。

「……分かった。でもなんで?」

奏美は顔を上げて言った。

「お手伝いです。徒野家に、使用人はいませんから。」

「そう……。」

奏美はもともと徒野の分家の人間だ。

本家で人手が必要になったから、近くにいる奏美が呼び出されたのだろう。

「それはそうとお嬢様、もう行かれるのですか?」

「え?」

言われて時計を確認する。

6時40分。

いつも家を出る時間より30分以上早い。

相当早く支度が終わっていたようだ。

「いや、もうちょっとゆっくりしてこうかな。」

朔羅もいないし。

多少遅かったところで、誰にも迷惑はかからない。

部屋に戻って椅子に座る。

奏美は部屋には入らないで、どこかにいってしまった。

また家を出るくらいの時間に戻ってくるのだろう。

なんとなく、朔羅とのトーク画面を開いた。

既読すらついていない。

時間がないだけなのか、それとも見るだけの心の余裕がないのか……。

学校終わっても返事が来てなかったら、電話しよ。