ふたつのさくら

凍夜が息を呑む音がした。

頭を撫でながら続ける。

「歩道を歩いてたところに、トラックが突っ込んできたんだって。詳しくは聞いてないけど……。苦しみはしなかったみたい。」

ぎゅっと、服を掴まれる。

凍夜の肩が震えていた。

嗚咽を噛み殺すように、静かに泣いていた。

僕はそんな凍夜の頭を撫で続けた。

最初は我慢していた嗚咽はだんだんと大きくなり、ついに声を上げて泣き始めた。

「なんでぇ……!なんで!母さん死んじゃったのぉ……!」

ごめん。僕にも分かんないや。

「なんでだろうね……。」

強いて言うなら、トラック運転手が事故を起こしたから、かな?

でもあくまで「事故」だから。

「事件」じゃないから。

「やだよぉ……死んじゃやだぁ……!」

……誰に言ってるんだろ。

「みんな!一緒じゃなきゃやぁだぁぁ!」

「……ごめんね。」

それはできない。