ふたつのさくら

ここで僕が乗っ取られてみんな死ぬか。

言ったことを守らないで近づき、僕だけ死ぬか。

それとも僕から離れて、みんな助かるか。

菖蒲と先代には分かったはずだ。

警官は驚いたり、怯えたり、はたまた何考えてるのか分からなかったりした。

でも誰も動かない。

少し、切り込みを入れた。

「おいっ!」

何人かはゆっくりと離れていった。

菖蒲が深呼吸をする。

僕を止めようなんて、無茶は考えないほうがいい。

そんなのは、菖蒲が1番よく知っていた。

「……離れてください。」

周囲の警察官に向かって、菖蒲が言った。

「こいつを、これ以上刺激するな。」

僕からは見えない。

だけど、今の菖蒲の目は、紅いんだろう。

周りの目が、化け物を見る目に変わった。

「……お前らが死ぬぞ?」

僕が言ったときの何倍もの圧で言い放った。

一瞬、全員の動きが止まる。

そしてパニックにでもなったかのように、慌てて離れ出した。

周りに人がいなくなる。

僕は倒れて、意識を手放した。