ふたつのさくら

その日の朝。

いつも通り支度をして、いつも通り朝ごはんを食べて、いつも通り薬を飲んで、いつも通り待ち合わせ場所に向かった。

体調は悪くない。

さすがにもう慣れた。

歩きながら、菖蒲にメッセージを送る。

『元気だよー』って。

生存報告くらいしろ!って怒られたから、毎日送るようにしている。

菖蒲からはピースの絵文字だけが送られてきた。

待ち合わせ場所の郵便局に行くと、珍しく咲良さんが先に来ていた。

壁に寄りかかって本を読んでいる。

遅かったかな?

一度深呼吸をしてから、近づいて声をかけた。

「おはようございます。お待たせしました。」

「おはよう、朔羅。今来たところだから、全然待ってないよ?」

そうか?それならいいんだけど。

「行きましょうか。」

2人で並んで坂を登る。

そういえば久しぶりだな、2人きりでの登校なんて。

最近はずっと璃奈さんがくっついてきてたから。

そうか、このくらい早ければ、璃奈さんはまだ来てないのか。

別にいてくれても良いんだけど、なんか疲れるんだよね。

ほら、距離感は近いままだし。

取り留めのないことを話しながら10分ほど歩き、校舎に着いた。

教室にはまだ誰もいなかった。

簡単に支度を済ませ、本を読もうとすると、咲良さんがてくてくと近づいてきた。

かわいい。

そして僕の前の席に座って、ノートを広げてくる。

「朔羅、これ教えて?」

咲良さんが見せてきたのは、数学の問題だった。

この式の最大値と最小値を求めろ、ってやつ。

「いいですよ。」

読もうとした本を置いて、咲良さんに教えてあげた。

すぐにやり方を理解して帰っていく。

そして教室が騒がしくなり、チャイムが鳴って、今日も学校が始まった。