ふたつのさくら

「あのー……朔羅?」

躊躇いながら声をかける。

「はい?どうかしました?」

まるでなにもないかのような自然な返事!

もしかして隣の方々は見えてない?!

「凍夜くん……は自業自得だとして、なんで菖蒲さんまで……?」

え?菖蒲さん、今日大学あったよね?

月曜日って、いつも帰ってくるの7時過ぎじゃなかった?

今日まだ、4時になったばかりだよ?

「あぁ……」

朔羅はそう言って、ゴミでも見るような目で菖蒲さんを見た。

「菖蒲が凍夜をそそのかしたんですよ。ほんっと、タチの悪い。」

「だからごめんって言ってるじゃん……。」

不機嫌そうに言った朔羅に、菖蒲さんが返した。

朔羅はそれをギロリと睨みつけて、黙殺した。

もう、この話題には触れない方が良さそう……。

そう思って、今度は別の話題を振った。

ていうか、元気だから忘れてたけど、本当はこっちを聞くつもりだった!

「ねぇ朔羅、今日、どうしたの?」

そう聞くと、部屋の空気が、ピリッと、少しだけ緊張したものになった。

でもそれは一瞬で、次の瞬間にはもうさっきの柔らかい?ものになっていた。

朔羅は笑って答える。

「ちょっと、熱出しちゃって。もう下がってるので、大丈夫ですよ?」

「……そう?」

一瞬の変化に疑問は残るが、まぁ元気そうだからいいでしょ。