ふたつのさくら

「もし完全に妖怪と一体化してしまったのならそれを取り外すことはできません。その人を形成する核である、魂が乗っ取られてしまうので。そうでなければ引き剥がすこともできなくはないです。ただ、その時に一緒に魂も持っていかれて廃人になる危険性はあります。」

先生は下を向いて震えていた。

「その、妖怪と一体化?したてたら、もう学校には通えないのか……?」

声も震えていた。

先生の様子を見るに、その子は「学校」に通えなかったのかな?

それでようやく通えると思ったら今度は原因不明の高熱。

格差社会だなー。

「……それがそうでもないんですよね。」

僕の言葉に先生は、はっとして顔を上げた。

「1人だけ、妖怪の魂を持ちながら普通に人間の体で生活を送っている人を知っています。」

少し希望があるような顔をしている。

だけど僕は先生から目を逸らした。

僕は知っている。

それがどれだけ辛いことなのかを。

「薬があります。妖怪の力を無理矢理押さえ込む薬です。でもその薬はあくまで保険。効力はその人の意思によります。それに荒れ狂うものを無理に治めようとするため、ひどい苦痛を伴います。」

また、沈んだ顔になった。

「……本人の強さにもよりますが、下手をすると、魂が消滅して、妖怪にも人間にもなれないで亡くなってしまうでしょう。」

辛いよな。

僕も、こんなことを言わなきゃいけないなんてきつい。

先生が口を開いた。

「誰なんだ?妖怪だけど、人間だってやつは。会わせてもらうことは出来るのか……?」

会って、どれだけ辛いものか確かめようと。

いいんじゃないですか?

姪御様、あなたは大事にされていますよ。