ふたつのさくら

「兄さん、今にも死にそうです。」

「は?!」

なに?どういうこと?!

朔羅が死ぬって、なに?

「熱が高くて、特に頭痛がひどいらしくて……さっきは血を吐いてました。」

顔から血の気が引いていく。

凍夜くんは、くすくすと笑っていた。

「死にそうになりながら、元気に勉強してます。」

「は?」

浅見さんも同じようにクスクスと笑いながら声をかけてきた。

「咲良さま、あちらを。」

「はぁ?」

浅見さんが指差したほう、玄関から続く廊下の方を見る。

そこには、呆れたような、申し訳ないような表情をした朔羅が立っていた。

「朔羅!!」

「あ!ちょっと!」

凍夜くんの静止を振り切って、朔羅に飛びついた。

「おっと……危ないですよ?」

朔羅は驚きながらも、しっかりと受け止めてくれた。

いつもより少し早い鼓動が聞こえる。

「よかったぁ……元気そうで、よかったよぉ……!」

「……はいはい。」

そうして、頭を撫でてくれる。

朔羅はそのまま続けた。

「大丈夫ですよ。僕は『まだ』、死にませんから。」

「うん……!」

冷静だったら、その言葉に気づけたのかもしれないけど、今は、元気そうな朔羅に安心して、それどころじゃなかった。

朔羅は私が泣き止むまで、頭を撫でてくれた。

すごい落ち着く……。