ふたつのさくら

いつもならチャイムと同時に入ってくる岡崎先生が、今日は少し遅れて入ってきた。

走ってきたのか、肩で息をしてる。

朔羅は一緒じゃなかった。

「あーごめん。遅くなった。それじゃ出席!徒野……はいないから、石田晃!」

先生は焦った様子で出席を取った。

……ちょっと待って?!

朔羅がいないってどういうこと?

先生、なんか知ってるなら教えて欲しいんですけど?!

「……はい最後、渡貫咲良!」

「はい……」

「よし、いるな。なんか連絡ある人!」

出欠を確認して、先生がそう言った。

どうやら先生から話すつもりはないようだ。

手を挙げる。

「ほい、渡貫。」

立ち上がることなく、先生に聞いた。

「……朔羅は?朔羅はどうしたんですか?」

朝、一緒に歩いてるときは、元気そうだった。

だから多分体調が悪いわけじゃない。

先生との話が長引いてるのかとも思ったけど、岡崎先生はここにいる。

別の先生と話してるのかな?

とも思ったけど、大体の先生が担任を持ってるから、この時間は各教室に行ってるはず。

てかそもそも、さっき先生は、徒野はいないって、朔羅の居場所をまるで知ってるように話してた。

だから聞けばわかる。

先生は気まずそうに目を逸らして、答えてくれた。

「あー……早退するから、荷物まとめてやって。」

「なっ……」

早退……?

あんなに元気そうだったのに?

……帰り、お見舞い行こ。

「……分かりました。」

返事をして、朔羅の荷物をまとめた。