ふたつのさくら

と思ったら、今度は後ろから声をかけられた。

「さくちゃん!勉強教えて!」

同じクラスの女子生徒。

後ろの席で、小学校から一緒。

勉強はあまり得意じゃない様子。

テスト期間になると、いつも私に教えて、って頼んで来るんだ。

「もー、彩歌、今日はどこ?」

「ここ、ここ。昨日やってみたんだけど、全く意味が分からなくて……。」

熱心なんだけど、ちょっと理解力が……。

「あーそこはね、これをこうして……」

なるべく分かりやすいように、丁寧に説明する。

正直、勉強は朔羅のほうができるから、私よりも朔羅に聞いたほうがいいと思ってる。

でも朔羅って、あんまりそういうことしないからなー。

結局、私がやればいっか、ってなるのである。

「……これで分かった?」

「おー!さくちゃん天才!めちゃ分かりやすい!ありがとう、これで今日の数学は怖いものなしだわ。」

うーん、教えてあげたほうがいいよね……。

「彩歌、今日の数学、そこじゃないよ?」

「ガーン……」

分かりやすく落ち込む彩歌に、今日の範囲を教えて前を向く。

そして黒板の上にある時計を見た。

あー、もうこんな時間。

結局、本読めなかったなぁ。

せっかく今が面白いところなのに……。

小説を机にしまったところで、朝のショート開始のチャイムが鳴った。

……隣の席は、空席だった。

先生との話、長引いてるのかな?