ふたつのさくら

璃奈はポカンと間抜けな顔をしたあと、笑った。

「……あはは!」

「ちょ、ちょっと!笑いごとじゃないんだからね?!」

そりゃはっきり聞きすぎた私も悪いけどさ……。

「ごめんごめん……ふふ。」

謝りながらも、まだ笑っている。

璃奈は一度大きく深呼吸をしてから、話し出した。

「すぅ……はぁ。よし、落ち着いた。それで、さくちゃん。なんであたしがさっくんのことを好きだと思ったの?」

「そ、それは、その……」

ここまで聞いといて口籠る私……。

あー!ホント情けない!

はっきり言っちゃえばいいじゃない!

「んー?なにー?」

璃奈はニヤニヤして、楽しそうに私の言葉を待っていた。

「……なんか、朔羅との距離、近いから……!」

きゃー!言ってしまったー!

璃奈はまた、ポカンとする。

私は顔を両手で覆いながら、璃奈に言った。

「ああああのね!朔羅、人と近いの、あんまり好きじゃないから……。」

「え?!そうなの!?」

璃奈は驚いたように声を上げた。

「逆に分からなかったの?!」

私も同じように大声を出してしまった。

え?あれだけ拒否されてて、分からなかったって本気?

「うん……。」

てっきりそれを気づいていて、その上で距離を詰めてるのかと思ってた……。

「……え?じゃあ、朔羅のことは、どう思ってるの?」

璃奈の反応で大体分かったけど、一応聞いとく。

予想と違ったら嫌だからね。

「どうとも思ってないよ。ただの友達!」

よ、よかったー……。

「もしかしてさくちゃん、あたしにさっくんを取られると思ったの?」

あからさまに安心した私を見て、からかったように聞いてくる。

「……」

「……あ、うん。最高にわかりやすい返事をありがとう。」

べしっ、と璃奈の背中を叩いた。

なによ!最高にわかりやすい返事って!

多分顔が真っ赤になってるんだろうな。

その後、璃奈と話しながら、ゆっくり、いつもよりだーいぶゆっくりと坂を登って、約15分後、やっと校舎に着いた。