ふたつのさくら

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僕は先生の質問に答えた。

実は起きてました!

なんて、言ってるけど、やっぱり菖蒲には分かるよねぇ。

寝かされていた体を起こす。

「あ、朔羅。おはよ。」

菖蒲がなんでもない風に言いながら、顔を覗き込んでくる。

瞳の色を確認しているんだろう。

そして僕の手を握った。

……あぁ、そうなんだ。

「……徒野……?!お前、いつから起きてた?」

岡崎先生が時間差で驚いたように言ってきた。

「いつからって……妖怪が人を食べるってところくらいからですよ。」

「結構前だな。」

菖蒲が言った。

そして一通り様子を見て、また声をかけてきた。

「調子悪いところない?辛いとか、暑いとか。」

聞かれて改めて考える。

……特にないな。

さっきまでの苦しさが嘘のように無くなっていた。

若干だるい気はするけど、これは妖怪関係なく、ただ疲れているだけだ。

「……もう大丈夫。元気だよ。」

そう答えると、菖蒲は怪しく微笑んで、片手で僕の頭をぐりぐりしてきた。

「いたたたたた!菖蒲!痛いって!」

「ちょ?!菖蒲さん!?」

菖蒲は僕の抗議の声にも、先生の止めようとする声にも耳を貸さなかった。

しばらくやって満足したのか、手を離した。

と思ったら無理矢理僕の顔を菖蒲のほうに向かせて、超絶いい笑顔で聞いてきた。

「朔羅……自分で説明してごらん?完璧って、どういうことなのかな……?」

あー……これ、ヤバいやつですね……。

かんっぜんに菖蒲を怒らせちゃった……。

僕は頭をさすりながら仕方なく答えた。

「……そのままの意味だよ。全部、菖蒲の言った通り。」

なにも言ってないはずなのに、なぁんで分かっちゃうかなぁ?

あれか?エスパーなのか??

菖蒲は僕の返事にさらに怒ったみたいで、今にも拳を振るってきそうだった。

でも、先生がいるからか、なんとかこらえたらしい。