旧倉庫をリノベーションしたショッピングモールは入り組んでいて、死角になる場所も多い。
もしかしたら、どこかの店で立ち止まっているのかもしれない。
各店舗のスタッフに特徴を伝えながら、私はさらに奥へ進む。
すると、一番奥にあった、昔の倉庫の歴史を紹介するコーナーで、白髪の男性を見つけた。
男性は、壁に展示してあった古いモノクロ写真を、じっと見つめている。
「あの……山口さんですか?」
声をかけると、男性は驚いたように振り向いた。
「おお、すまんね。ちょっと昔を思い出して、気づいたらここにいたよ」
山口さんが見ていた写真は、まだ倉庫だった頃の風景を写したものだった。
鉄骨の梁、木箱が積まれた広い作業場、そして荷積みをする人々の姿が映っている。
「ここがまだ倉庫だった頃、私はここで働いていてね。そこで妻と出会ったんだよ」
寂しそうな、だけどどこか懐かしそうに笑う山口さん。
時計を見ると、集合時間まであと少しだった。
「そろそろ行きましょう。奥様が心配していますよ」
促すように声をかけると、山口さんは苦笑した。
「ああ、集合時間だったね。でも、もう少しだけ待ってくれるかい?」
そう言って、再びモノクロ写真に視線を戻す。
その横顔には、ほんの一瞬、若かりし日の彼が重なった気がした。
私は小さく頷き、彼が静かに思い出に浸るのを見守った。
数秒後、山口さんはふうっと息を吐き、静かに背を伸ばした。
「……よし、行こうか」
私は微笑みながら頷き、山口さんと並んで歩き出した。
もしかしたら、どこかの店で立ち止まっているのかもしれない。
各店舗のスタッフに特徴を伝えながら、私はさらに奥へ進む。
すると、一番奥にあった、昔の倉庫の歴史を紹介するコーナーで、白髪の男性を見つけた。
男性は、壁に展示してあった古いモノクロ写真を、じっと見つめている。
「あの……山口さんですか?」
声をかけると、男性は驚いたように振り向いた。
「おお、すまんね。ちょっと昔を思い出して、気づいたらここにいたよ」
山口さんが見ていた写真は、まだ倉庫だった頃の風景を写したものだった。
鉄骨の梁、木箱が積まれた広い作業場、そして荷積みをする人々の姿が映っている。
「ここがまだ倉庫だった頃、私はここで働いていてね。そこで妻と出会ったんだよ」
寂しそうな、だけどどこか懐かしそうに笑う山口さん。
時計を見ると、集合時間まであと少しだった。
「そろそろ行きましょう。奥様が心配していますよ」
促すように声をかけると、山口さんは苦笑した。
「ああ、集合時間だったね。でも、もう少しだけ待ってくれるかい?」
そう言って、再びモノクロ写真に視線を戻す。
その横顔には、ほんの一瞬、若かりし日の彼が重なった気がした。
私は小さく頷き、彼が静かに思い出に浸るのを見守った。
数秒後、山口さんはふうっと息を吐き、静かに背を伸ばした。
「……よし、行こうか」
私は微笑みながら頷き、山口さんと並んで歩き出した。



