スイーツ王子は甘くない⁉

 えーっと、アズくん、それはいったいどういう……。


「このスイーツ特訓も、残りあとわずか。あと少しで……」

 そう言って、なんだか思いつめたような顔をするアズくん。


「アズ、くん?」

 アズくんに声を掛けると、ハッとした顔をしてから、それをごまかすようにしてニコッと笑って見せる。


「ああ、すみません。あと少しで転科試験ですね。合格できるよう、精一杯がんばりましょう」


 大福をすべて作り終えると、アズくんが出来栄えをチェックする。


 多分……大丈夫のはず!

 でも、やっぱりドキドキする~!!


 両手をぎゅっと組み合わせ、アズくんをじっと見つめていると、アズくんがにこやかな笑みを浮かべてわたしの方を見た。


「とっても上手にできましたね。合格です。僕の和菓子の特訓も、今日で終わりです。本当にお疲れさまでした」

「はいっ。ありがとうございました!」

 ホッと胸をなでおろすと、がばっと頭を下げる。


「おめでとう、心愛!」

「よかったねー、心愛ちゃん」

「心愛ちゃん、ここまでよくがんばったね」

「みなさんも、本当にありがとうございました!」

 エンくん、イチゴくん、シロくんにも感謝の気持ちを込めて頭を下げる。


 こんなときでも、クロくんは来てくれないんだ……。

 なんだかちょっと寂しいけど……きっとチョコレート作りで忙しいんだ。仕方ないよ。