スイーツ王子は甘くない⁉

 翌日の作業は、白玉粉と水、砂糖をよく混ぜてから火にかけ、ひたすらよく練り、大福の外側の求肥作りから。

 イチゴの周囲をあんこで包み、さらにそれを求肥で包んでいく。


「おっ、うまそうなのできてんな!」

 あと少しで完成! というところで、エンくんたちが実習室の中に入ってきた。


「あっ、イチゴだあ!」

 イチゴくんが、歓声を上げる。


「ついに和菓子の特訓も終了かあ」

「心愛ちゃん、ここまでよくがんばったね」

 エンくんがしみじみと言い、シロくんが優しい笑みを向けてくれる。


「えへへっ、ありがとうございます」

「ほら、心愛さん。最後まで集中してください」

「あ、ご、ごめんなさい!」

「みなさんも。まだ終わっていないので、あちらで静かに座っていてください」


「あーあ、エンのせいでアズに怒られちゃったじゃない」

「はあ⁉ オレのせいにすんなよな。イチゴが最初に様子を見に行こうって言い出したんだろ」

「ほら、二人とも。静かにしていないと、心愛ちゃんの気が散っちゃうよ」


 ふふっ。なんだかシロくん、二人の保護者みたい。


「まったく。邪魔をするなら、来ないでいただきたい。やっと心愛さんと僕、二人だけの時間が来たというのに」

 アズくんが口の中でなにやらブツブツとつぶやいて、若干の不機嫌を滲ませている。