スイーツ王子は甘くない⁉

「関西風しか知らなかったけど、関東風の方もおいしい!」

「同じ名前なのに、材料も作り方も違うなんて、本当におもしろいお菓子ですよね」


 桜餅をいただいたあとは、ついにお抹茶だ。

「右手で持ち上げた茶碗の底を左手で支え、右手を側面に添えてください。そうしたら、時計回りに二度ほど回してから、いただいてください」


 時計回りだから……こっち!


「ええ、上手です。飲み終わったら、口をつけたところを指で拭い、反時計回りにまた二度ほど回してから置きます」

「ふぅ~~」

 無事お茶碗を落とすことなく台の上に戻すと、思わず安堵のため息が漏れる。


「ふふっ。そんなに緊張しなくても大丈夫ですよ」


 でも、抹茶茶碗って高価なものだっていうし。

 万が一落としでもしたら大変って思ったら、怖くて手が震えちゃったよ……!


「そろそろ小豆の様子を見てみましょうか」


 そうだった!

 お抹茶と桜餅に夢中になりすぎて、忘れかけてたよ。


「では、硬さを確認してみてください」

 鍋の中から一粒すくい、指で豆をつぶしてみる。


「わわっ、つぶれた」

「よさそうですね。それでは、砂糖を入れて味つけをしましょう。豆が柔らかくなる前に砂糖を入れてしまうと、それ以上豆が柔らかくならなくなってしまうので、注意してくださいね」


 ゆで汁をひたひたになるくらいまで減らしてから砂糖と塩を加え、好みの硬さまで木べらで練っていく。


「完成!」


 アズくんが、小豆の硬さと味を確認する。

「いいですね。ではこのまま一晩置いて、明日 、いちご大福を作りましょう」