クロくんには報告完了。早くシロくんたちも探さなくちゃ。

 だけど、どれだけ探し回っても、シロくんも、エンくんも、イチゴくんも、アズくんも、誰も見つからない。


 それどころか——。

「は? シロ? そんなヤツ、聞いたこともねーよ」

「焼き菓子専攻のエンくん? そんな子いたっけ?」

 校舎に残ってお菓子の練習中の上級生を見つけては、エンくんたちのことを聞いて回ったんだけど、みんな口を揃えて知らないと言う。


 ウソだ。信じない。

 だって、クロくんはちゃんといたよ?

 だったら、他のみんなだって……そうだ!


 わたしがいつも特訓に使っていた、一年生用の調理実習室。

 きっとあそこにいる。

 確信めいたものに導かれるようにして、一心に走る。


「みんな!」

 ガラガラッと勢いよく扉を開けると、談笑中のシロくんたちがわたしの方を見た。


「結果が出たのかな、心愛ちゃん?」

「そんで? どうだったんだ⁉」

「合格だよね? ボクはそう信じてるよ」

「どうなんです、心愛さん?」

「うんっ、合格!」

 口々にわたしに尋ねるみんなに、合格証書を掲げて見せる。


「うぉ~っ、やったな、心愛!」

「すごい、すごーい! よかったねー、心愛ちゃん」

「心愛ちゃん、よくがんばったね」

「すごいです。おめでとうございます」

「ありがとう、みんな……!」