栄華さまは尋常を望む

私はお父さんと別れて、校門をぬけた。
一度、職員室に寄り、先生と会ってから、先生と一緒に教室へ向かう。
「これから朝のホームルームを始めます。」先生が挨拶すると、ピタリとしゃべり声が止まるはずが、なかなか止まらない。
みんなは気だるそうに自分の席に戻るのを確認して、先生は私をてまねきした。
「今日は転入生がきておりますよ。」
そのまま私は教壇に立ち、ぐるっとクラス全体を見回し、小さく息を吐いてから口を開いた。
「みなさん、ごきげんよう。華月雫と申します。以後お見知り置きを。」
なめらかな口ぶりで、微かに笑みを浮かべて言う。