俺様御曹司は欲しい

「どーせ可愛くないわよ!知ってるわ!そんなこと!」

あたしは肩に乗ってる九条の手を払って逃げ出そうとした……けど、それをあの九条が許すはずもない。秒で捕まった。

「お前情緒不安定すぎんだろ。なに、生理前?」

「あんたデリカシー皆無すぎんでしょ。なに、人外?もう離して、別になんでもないって言ってんでしょ」

「そんな顔してよく言うわ~」

『よしよーし』と言わんばかりにあたしの頭をワシャワシャ撫でる九条。あの、犬か?あたしは。

「元々こういう顔してますが、なにか?」

「言えよ」

あたしを抱き寄せて、その大きな手であたしの頬を優しく掴んで、ムニムニ揉んで遊んでくる九条。

「びぇちゅににゃんでもにゃい(別になんでもない)」

頬をムニムニされてまともに喋れないは許してほしい。

「“びぇちゅににゃんでもにゃい”やつがそんなしけたツラしてんなよ。言え、おら、さっさと」

真似すんな、絶妙に上手いのが鬱陶しいし。ていうか喋らすつもりある?ムニムニしすぎでしょ、ほっぺた無くなっちゃいそうなんですけど?

「……うびゃきしちぇるの?(浮気してるの?)」

「あ?」

いや、なんで1発で聞き取れるのよコワッ。

あたしの頬をポイッと捨てて腕を組み、鬼の形相であたしを見下ろしてる九条はおそらく激オコ。