俺様御曹司は欲しい

「お見苦しくて大変申し訳ございませんでした!どーせあたしには似合わないし色気もクソもないわ!あんたの好みなんて知んないし、だいたい巨乳なんてなりたくてなれるもんじゃないわ!なれたら苦労してないっつーの!寄越せよ、だったら寄越せよあたしに乳を!!」

「だぁから落ち着けって、ドードー」

あたしにバスローブを着せて紐をぎゅっと締めてきた九条にイラつきすぎて思わず手が出た……けど、その手を優しく掴んで包み込んできた。

「なんか言いてぇことあんじゃねーの?」

「……今日バレンタインだし……その、なにも用意してなくて申し訳ないなって、そう思って。ちょっとでも九条に喜んでほしくて……の末路がこれですハイ」

「だろうな」

「へい」

「わかってる。お前が俺の為に一生懸命してくれたことも、恥ずかしくて死にそうなのも。だけどな、泣きたくなるほど嫌なら俺の為でも無理すんなっつってんの」

え、そういう意味だったの?

勝手に泣きそうになるくらいだったら余計なことすんなよ、めんっどくせえーって言われてるのかと思った。

「……ごめん。でも、どちらにしろ九条のお気に召さなかったみたいだから、こんなのやり損すぎて今すぐにでも消えたいんですけど。恥ずかしくて死ねる」