俺様御曹司は欲しい

「おいって、マジで落ち着け!」

九条の胸ぐらを掴んでる手をガシッと掴まれて、ピタリと動きが止まるあたし。

「……コロシテ」

ムンクの叫びバリの顔面をしながら九条を見上げた。

「やめろ、そんなツラでこっち見んな。で、なんなのお前」

「歓喜、バレンタイン、今日、男、セクシー、九条、ランジェリー、うぇーい」

「おいおい、日本語めちゃくちゃになってんぞ」

こんな格好してなに馬鹿なことしてんだ?ってそう思ってるよね。似合わねえ、可もなく不可もない乳しやがってって思ってるでしょ。

「体冷えんぞ~」

そう言いながらバスローブを持ってきた九条がそのバスローブをあたしに投げてきた。

「さっさと着ろ」

わかってる、わかってた。そりゃあたしのこんな姿見ても九条がなんとも思わないことなんて、わかりきってたことじゃん。柄でもないことして、女として見られてないってことが露呈して、虚しい思いするだけじゃんこんなの。

「はぁー。なぁに泣きそうな顔してんだよ」

「別にしてないし」

「泣きそうになるくらいなら、んなことすんなよ。アホかお前は」

なによそれ。色気もねぇくせにそんな格好すんなって?んなもん見せられるこっちの気持ちにもなれよって?