俺様御曹司は欲しい

どうしようもないってわかってるけど、どうしても足掻きたいあたしはとりあえず寝たフリ作戦を決行することに。

「おーい、七瀬」

「……」

「寝てんのー?」

「……」

「七瀬?」

アタシハ、ネテイル、ソレハ、ソレハ、グッスリト。

「んだよ、寝ちまったか。仕方ねぇな」

よし、これでなんとか──。

「なーんてな!!寝たフリ……して……ん……だろ……」

「……」

ガバッと捲られた布団、しかも全部捲られた。これがなにを意味するかわかる?当たり前だけどまず九条と目が合うよね?で、当たり前だけどあたしのセクシーランジェリー姿の全容がさらけ出されるよね?

し ぬ 。

呆然、唖然、間抜け。全てを混ぜたような顔をして立ち尽くし、あたしを見下ろしてる九条。あたしはなにを思ったのか満面の笑みを浮かべ、ウインクをしながらチョコを差し出しこう言った。

「はいチョコレート、あーんしてあげる♡」

「……」

「……」

バッ!!と勢いよく立ち上がって九条の胸ぐらを掴みガンガン振りまくるあたし。

「殺して、殺してくれぇぇ!!あんたにだったら殺されてもいい!!心置きなく呪って呪って呪い殺せるから!!」

「ちょっ、落ち着けよ馬鹿が!死ぬわ!」

「落ち着いてられるかぁぁーーい!あたしの幼気な心が死に失せたわぁぁーー!」