俺様御曹司は欲しい

「ねえ、ちょっと」

「あ?」

「もう少し小さくなれないわけ?」

「無理~」

あたしは限界まで縮こまってるのに、九条はおそらくドテーンと寛いでるでしょこれ。背中と背中が今にもピタリとくっつきそうなんですけど!?

「くっつきそうなんですけど!」

「背中くらいよくね~?減るもんでもねぇんだし」

いつだってそう。いつだって余裕そうでこんなことなんっとも思ってないんでしょうね、あんたは!

ああそう、意識してるこっちが馬鹿らしくなってきたわ!ええ、そうですね、背中くらいよくね~?減るもんでもねぇんですし!

あたしはピタッと背中をくっつけて、九条の肩にコツンと頭を置いた。この際、背もたれと思お。これはゴツゴツした背もたれ。

「お前、俺のことなんだと思ってんの?」

「背もたれ」

「ハッ、だろうな。今日このまんま泊まってくぞ、帰るのめんどくせぇし。親に連絡しとけ」

「はいはい」

金曜日はこのパターンが多い。お互い用事がなければどっちかの家にお泊まりコース。だからどうってことない……って言えたら苦労しない。

未だに緊張するのっておかしいのかな。九条と一緒に寝るのってドキドキして心臓に悪いんだよね。見てくれだけは死ぬほどいいじゃん?ほんっと国宝級イケメンなのは手放しで認める。