俺様御曹司は欲しい

うん、それはやめてー。絶対にやめとけー。と心の中で思いながら儚い笑みを浮かべるあたしとドヤ顔の九条。

「でね?お姉ちゃんとけっこんするの!」

ありがとう、涙がちょちょ切れるよ。是非ともよろしく。

「あおくんっ」

「悪いね、あおくん。残念ながらこのお姉さんは僕のフィアンセなんだ。僕のなの、他探してね?」

おい、貴様。余計なこと言うな、あおくんの可愛らしい夢を奪うなバカタレが!それにあおくんの両親がいるからって若干猫かぶってるからより一層腹立つわ!

「あら、やっぱそうなのね?お似合いよ、2人とも。美男美女カップルって本当に存在するのね」

「君達の幸せを祈ってるよ。今日は本当に申し訳なかった、ありがとう。この恩は一生忘れない、本当にありがとうございました」

あおくん達とさよならした時にはもう外が暗くなってて、どうするのー?状態だった。

「ったく。あんなガキんちょやらクソ陰キャやら幼なじみとやらにチョコだの菓子だのやるくらいなら、日頃お世話になりまくってる俺に寄越せっつーの、こんの馬鹿女が」

たしかに、たしかに大変お世話にはなってるよ?たくさん助けてもらっちゃってるし。でも、なんか釈然としない。

「お世話になってるっていうか、むしろお世話してるのあたしじゃない?」

「フンッ、なぁに言ってんだか」