俺様御曹司は欲しい

「凛様と蓮様」

「蓮にまでやったわけー?」

「そりゃそうよ。お世話になってるし、あたしだけじゃなくあんたも」

「チッ、そうかよ。で?」

「あとは胡桃ちゃんと胡桃ちゃんに許可を得て純くんにも」

「あぁん!?純くんだぁ?ふざけんな、あんなクソ陰キャにまでやったのかよお前は」

「クソ陰キャとか言わないで!全然そんなじゃないし!それに純くんにもお世話になってるし!」

「はあ、もう呆れてものも言えん」

「え、あ、ちょっ、待ってよ」

ムッとしたまま部屋から出ていった九条の荷物と自分の荷物を持って慌てて追いかけるあたし。なんで不機嫌なの?ちゃんと全部話したし、嘘なんてついてないし。

チラッと見上げると、機嫌が悪そうなもののどこか上の空状態な九条。

これはなにを考えてるのか全くわからない時の九条。ていうか常になにを考えてるのかさっぱりわかんないんだけどね?多分脳の造りが違いすぎて理解ができない。悲しいことに。

「あれ、霧島さんは?」

いつも迎えに来てるはずの霧島さんがいない。こんなこと基本的にないはずなんだけど。野暮用がある時は別の迎えが来るし、あたしか九条に必ず連絡があるはず。

「知らん」

「いや、知らんって……迎えどうするの?」

「知らん」

「ちょ、歩いて帰るつもり!?」

「知らん」