俺様御曹司は欲しい

「なに」

「七瀬をオカズにすんのは確定として、やっぱこうなんかしら欲しいだろ」

「は?」 

「ちょっと喘いでくんね?」

「死にたいの?」

「んじゃせめて『九条、いっぱい出して?』って言ってみ?ほれほれ」

『言ってみ?』じゃねーよ。『ほら、言える言える!頑張れ!』みたいなテンション感やめてくれるかな!?

「もぉ、なんなの!?いつにも増しておかしくない!?」

すると急にムッとして、ベッドの縁に腰かけながら無駄に長い脚を組む九条。

「なに、どうしたの?」

「今日バレンタインらしいよー」

「そだねー」

いや、わざわざ言われなくてもわかってるし。あんた朝からチョコだのなんだの腐るほど貰ってるじゃん。2トントラックがパンパンになっちゃうんじゃないの?天馬のみならず全国から九条宛の荷物届いてるし。

こうなるだろうなって思ってたから、あたしはなんっも用意してないよ?いらないでしょ、腐るほどあるんだし。食品ロスほど勿体ないものは無い。あたしも食べるの手伝わなきゃ。

そんなことを考えてたら『はぁぁー』とわざとらしいため息を吐きながら、無駄に長い腕を頭の後ろで組んであたしを咎めるような目で見てくる九条。

だいたい九条はバレンタインとか嫌いでしょ?イベント事とか苦手だの鬱陶しいだの言ってたし。