俺様御曹司は欲しい

九条は優しいから待ってくれてる、無理やりになんて絶対してこない。いつだってあたしのペースに合わせてくれるし、正直彼氏としてもハイレベルすぎる。たまには言うこと聞いてあげてもいっか、なんて折れるあたしも大概だな。

九条に顔を近付けると、そっと後頭部に回された手に引き寄せられて唇が重なった。あたしは九条の口の中にイチゴを入れて離れようとした……けど、離れられるわけもなく。

「んっ!?」

フッと鼻で笑った九条はあたしの口に中に舌を入れてきて、イチゴの甘さなのか九条とのキスが甘いのかワケわかんないくらいに濃厚なキスをされる。

いっつも横暴なくせにキスは丁寧で、丁重に扱ってくる九条にまたドキドキさせられて、あたしばっか余裕がない。ズルい、九条は余裕そうでムカつく。

あたしだってやればできるし。謎の対抗心で俗にいうドえろいキスを仕返してやった。

「なにお前、やることなすこと可愛すぎんだろ」

「なによ、余裕そうでほんっと腹立つ」

「余裕……ねえ。つーか知ってた?お前のキスまんま俺のやり方だって」

「そっ、そんなの知らない!」

「ククッ。いいね~、そういうの。俺しか知らないって感じがしてたまんねぇわ。ま、お前は一生俺しか知らずに死んでくんだけどね~?」

「道連れにしてやる。あんただってこれからはあたしだけしか知らずに死んでいくんだから」