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なんて言いながら拘束されてる倉田篤史に近づいた時だった。

「倉田さん、本当に申し訳……うぅっ!?」

「白浜さん!!」

一瞬だった、なにが起きたのか分かんなくて腹部に強い痛みを感じて見てみると、倉田篤史がわたしにナイフを刺している。でも、正気じゃないっていうか操られてるみたいな、そんな感じ。

わたしはナイフを持ってる倉田篤史の手をぎゅっと握って抜かせないようにした。催眠術の類いなら衝撃でなんとかなんないかな?そう思いながらもう片方の手で思いっきりビンタしてみた。すると、ハッとしたように正気を取り戻した倉田篤史は今の現状に驚いて震え始めた。

「お、お前……俺が、俺がっ」

「大丈夫です、死にませんから」

「白浜さん!!」

慌てて駆け寄ってきた亮くんは珍しく焦りまくってる。

「亮くん落ち着いて」

「こんな状態で落ち着いていられるほどイカれてないんですよ私は!!」

「いや、本当に問題ないって。たしかに痛すぎてハゲそうだけどマジで問題ない。ちゃんとナイフ抜かせなかったし、今この傷に治癒力全振りしてるから大丈夫」

ナイフで刺された時はそれを抜かせないのが鉄則。

「倉田さん、大丈夫ですか?すみません、わたしのせいで」

「お、俺は……俺のことなんて、お前がっ」

「平気です。この程度でくたばるような弱っちい女じゃありませんのでご安心ください」

ま、腹部にナイフが刺さったままの女がなにを言ったって怖いよね。ぶっちゃけ痛くて死にそうだし。でもここで痛みに負けたら倉田篤史が責任を感じてしまう、わたしのせいなのに。

「……えっと、あの、大丈夫……?亮くん……」

気が動転してるのかわたしを後ろから抱きしめつつ、ナイフの刺さった傷口を優しく手で押さえて頭を撫でてくる亮くん。これはちょっとおかしすぎるのでは?