トップシークレット

「そうですね。これは白浜さんだけの問題ではない、私達の問題です。たしかに面倒な事にはなりましたが、相手が単純な金銭目当ての誘拐犯だった場合、金銭的な要求をしてくるパターンが殆どかと。相手がXと決めつけるには不十分すぎます。まずは相手の出方を待ちましょう。居場所さえ分かれば私達で対処すればいい」

「だよな、鳴海の言う通り!」

流星くんも亮くんもとても頼もしい。同期がこんなにも心強いなんて、わたしは本当に恵まれてる。流星くんも亮くんもわたしの中でどんどん存在が大きくなって、いつの間に欠かせない存在になってる。絆ができて深まって、新たな絆が生まれてまた深まっていく。亮くんと流星くんはわたしにとってかけがえのない存在。

うん、しっかりしなきゃ。項垂れてる暇はない。

「亮くん、流星くん、ありがとう」

そして、わたしのスマホが鳴った。相手は倉田篤史……なわけがないよね。亮くん達に画面を見せて顔を合わせコクリと頷く。通話ボタンを押してスピーカーにした。

[はい、もしもし]

[君は白浜千帆ちゃんかな?]

なるほど、もうこっちの正体は把握済みってことか。となると、X関係者でほぼ間違えないとみた。

[あなたは?]

[いやぁ、透き通るような綺麗な声だねぇ。んーっとね、倉田篤史を殺されたくなければ港にある第1倉庫まで来てくれるかなー?ちなみに1人でね?]

[倉田篤史さんの声を聞かせてください。交渉はそれ次第です]

シーンと静まり返って緊張が走る。これで護衛対象が亡くなっていた場合、わたしがのこのこと指定場所に行くことは申し訳ないけどできない。相手がXなら尚更。

すると、微かに聞こえた弱々しい声。その声はわたしの名前を呼んでる。間違えなく倉田篤史は白浜千帆ってそう呼んだ。わたしの助けを必要としてる。そもそもわたしのせいで拉致られたんだ、わたしが助けないでどうすんの。