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なんだろう。やっぱりわたし、この黒髪男子にどうやら一目惚れしてしまったらしい。妙に惹かれて、ときめきが止まらない。こんなのハジメテすぎて、どうしたらいいのか分かんないよ。

「……あ、すみません」

「へ?あ、いや、なんで謝るの?」

わたしの手首を掴んでる大きな手をゆっくりと離して、そのままその手で自身の口元を押さえながら目を逸らす黒髪男子。

「痛くなかったですか?」

「え?あーうん。全然大丈夫」

「そうですか。あ、あの、私なんかでよければご一緒させてください」

手で口を覆ったまま、わたしのほうをチラリと見て少しだけ恥ずかしそうにしてる黒髪男子。言い方の謙虚さと恥ずかしがり屋さん度合いに思わず笑いが込み上げてきて、我慢できずに笑ってしまった。

「はははっ!!もぉ、なにその言い方~」

「何かおかしいですか?」

「いや、謙虚すぎるでしょ~。きみS専の生徒にしては珍しいタイプかもしんないね。でも、そういうのとっても素敵だと思うよ~」

いやいや、ちょっと待って?ただただ真顔で見つめ合うわたし達。わたしは一体なにを言ってるんだろう。『とっても素敵だと思うよ~』ってマジか。自分の顔がみるみる赤くなって火照っていく。でも、わたしと同じく頬を染めてる人がわたしの目の前にいて、互いにスッと顔を逸らした。

「では、行きましょうか。遅刻はしたくありません」

「あ、うん」

それから顔を合わせることなく、少しだけ距離を取って並んで歩く。この黒髪男子、間違えなくわたしの歩幅に合わせて歩いてくれてる。こういう些細なことでも胸がキュンして苦しい。きみ、かっこよすぎないか!?そんなことを考えながら、内心ウハウハしてたわたしにどうやらバチが当たったらしい。思いっきり段差に躓いた。