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わたしの右頬に優しく手を添えて、そのまま撫でるように後頭部に手を回してきた亮くん。ゆっくり屈んで近付いてくる顔に、ごくごく自然で当たり前かのようにわたしはゆっくり目を瞑った。

でも、重なるはずの唇が重なることはなくて、スッとわたしから離れた亮くん。

「すみません。戻りましょうか」

「……うん、って……ちょ、亮くん!血が!」

亮くんの右手からポタポタと血が流れ落ちてる。そんな出血するほど強く握り締めてたなんて、一体なにをそんなに……って、今はそんなことどうでもいい。わたしはその手を掬って治癒力を分け与えようとした時、わたしの手は優しく払い除けられた。

「やめてください」

「なんで……どうして亮くんはっ」

「貴女の施しを受けるつもりはありません」

「そんなこと言わないでよ」

「私は情けない男です。あの時、貴女の力を使わせたくはなかった。なのに使わせてしまった……私のミスのせいで。その挙げ句、貴女は私を助けようと懸命に処置をしてくれていたのにも関わらず、私は……自分を制御できなかった、貴女に無理をさせてしまった。貴女を見ていると胸が苦しい、高ぶる感情を制御できなくなってしまう。だから、私とはもう業務以外で関わらないほうがいい」

あの、えっと、ちょっとごめん。んっと、え?いや、ん?それって……告白かな?ち、違うか。でもこんなの『好き』って言われてるようなもんじゃない?解釈都合よすぎかな?恋愛経験値低すぎてよく分かんないよぉ、どういうことなのぉ?これ。

「あ、あの、もしかして亮くんってわたしのこと好っ」

「私は、私には誰かを好きになる資格も愛する資格もありません。ましてや貴女ような女性など……すみません」

「……」

去り際の亮くんの横顔は寂しさでも悲しさでもなくて、グッとなにかを抑え込んでるような……そんな感じだった。わたしにはこれ以上踏み込む勇気が無くて、ぎゅっと下唇を噛み締めた。