トップシークレット

あたしに背を向けて歩き出そうとした黒髪男子の腕を思わず掴んでしまった。スラッとして細く見えるのに腕が意外とガッシリとしてて、それだけのことで胸がキュンとして心臓の音がうるさい。こんな感情初めてでめちゃくちゃテンパっちゃう。

「あ、あのっ……!!」

声が裏返った、マジで死ぬ。チラリとあたしを見下ろしてる黒髪男子。少し目が細くてキリッとしてるタイプだから感情の読み取りが大変そう。

「あ、あのー、1年生ですか?」

「ええ、そうですが。貴女は2年生でしょうか?」

「えっいやっ、違うよ!?あたしも1年!えっと、じゃあ同期ってことだね?あたし達」

すると、ジッとあたしを見つめながら考え事をしてる様子の黒髪男子。その真剣な眼差しに胸の高鳴りが加速していく。

「すみません。初対面の貴女に大変失礼かとは思いますが、どうしても気になることが。お伝えしてもよろしいですか?」

ジッとあたしを見つめてくる黒髪男子に心臓が飛び出そうなほど、バックンバックンしながら体の中でその鼓動が鳴り響いてる。

これってもしかして、いきなり告白パターン?すでに両思いみたいな?

「え、あっ、はい!どうぞ遠慮なく!」

「そうですか。では、遠慮なく」

あたしは生唾をゴクリと呑み込んで、胸を高鳴らせていた。

「一人称は“あたし”ではなく、“私”のほうがよろしいかと」

ハイ?えーっと、それだけ?まさかのそれだけ?

「すみません、どうしても気になってしまって。これからS専に所属するにあたって目上の方にお会いする機会もあるでしょうから、今のうちに直しておいたほうがよいのでは?と思いまして」