「白浜っ」
「セクハラ!!」
「いや、だからっ」
「教えませんよ、絶対に!!」
「だぁから冗談だっつーの、信じらんねぇわオメェら」
煙草を吹かして無様すぎるセクハラ担任に冷めた目を向けるわたし達。
「白浜、マジでオメェのせいでもなんでもねぇからな。これは俺の過ちだ、だから前を向け。振り返るな、それは俺達大人がすることだ」
嫌でも伝わってくる、分かってしまう、この人が自分を責め立てて後悔に蝕まれているが。だってわたしもそうだったから、でもわたしはそれからすらも逃げた。この人は違う。向き合ってる、立ち向かってる、決して逃げようとはしない。これがこの人とわたしの決定的な差。
「んじゃまあ、まずは自己紹介だな!」
『え?今さら?』とか思ったのはきっとわたしだけじゃないはず。
「俺は羽田野道夫(はたのみちお)」
「「はたの、羽田野道夫!?」」
わたしと流星くんは声を揃えた。亮くんは『?』状態だけど。それもそうか、亮くんはスカウトだもんね。知らないのも無理はない。
羽田野道夫、この界隈ではかなりの有名人。ひとりで数十人レベルの戦闘力があるって噂で、任務の成功率は圧倒的100%……絶対に失敗しない男、生きる伝説として名を馳せている。あの羽田野道夫がなんでS専の教師なんかに!?しかもイケメンって聞いてたのに、なんかちょっと残念感が否めない。
「うえっ!?あの生きる伝説が先生!?マジか、すっげぇー!!」
「櫻井、なんですか?その絶妙にダサい異名は」
「おいおい鳴海ィ、それ酷くねえー?先生泣いちゃうぞ~?実はめちゃくちゃ強くてかっこいいのにそれをひた隠しにしてる努力よ」



