トップシークレット



白浜千帆── アイツからよく話は聞いていた。俺の数少ない同期の内のひとり、姫野明花梨。えらく白浜を気に入って『白浜ちゃんは可愛くて優しくて、とても強い子よ。だから心配だったりもするの、自分より他人を思いやれる子だから』って俺に電話してくる度にそう言っていた。俺達の組織はスリーマンセルが基本、俺が野暮用で海外出張してた間に『これは極秘案件だ』とかなんとか言って姫野と松下が白浜の護衛に充てられていた。姫野と松下が中坊の護衛なんざ相当のことで、マジもんのトップシークレットなんだと悟ってはいたが、白浜は俺の想像を遥かに越えてくるほどの逸材だった。

そりゃ上の連中も必死こくわけだわ。まあ、アイツらは強い。俺が認めた奴らだ、問題はねえ……そう思っていた矢先、姫野が再起不能の怪我を負ったと松下から聞かされた。また俺達は同期を失っちまったのか、なんでこうも奪われちまうかね。十数人いたはずの同期は殉職や退職で俺と姫野と松下、あとは現場を離れてサポートに回った2人のみ。

なんで、どうしてこうなった。俺がいればこんなことにはならなかったか?何度も何度も自問自答を繰り返した。

「羽田野、白浜ちゃんのことだがっ」

「言われなくても解ってるっつーの、責め立てるつもりなんざ微塵もねえ。悪ィのは全部大人だろうが」

「白浜ちゃんは最後の最後まで姫野を救おうとしてた。まだ中学生の白浜ちゃんに全てを背負わせてしまったんだ、俺達大人が。何してんだろうな」

「……白浜千帆は俺が面倒を見る」

「は?いや、なに言ってんだよ羽田野。お前あれほど教鞭垂れるつもりはねえってっ」

「腐らせるわけにはいかんでしょうが、未来ある若い者を」