トップシークレット

「どうやら生理的に合わないようですね、私と貴方達は。下品な下ネタは辞めていただきたい」

そう言いながら亮くんがどっからともなく取り出したのは大量のボールペン。それを容赦なく流星くんと担任へ突き刺す勢いで次から次へと投げ始めた。さすがS専の教師、さすがS専の生徒と言うべきかな。異次元の戦いがわたしの目の前で繰り広げられて、なんかもう目が点になってポケーッと間抜けな顔をするしかないわたし。

その時、流れ弾……ではなく流れボールペンが飛んできて、わたしはそれを焦ることなく掴もうとした。このくらいわたしにだって……え?亮くん?

「おい鳴海ィ。今の白浜でも取れただろ、過保護かぁ?邪魔すんな」

「白浜さんを試すような真似は解せませんね。それでも貴方は教師ですか」

掴んだボールペンをバキッとへし折って、その破片が地面に散っていく。

「なぁ、白浜。オメェなんで逃げた」

その瞳はわたしを逃がさない、全身をがんじがらめにするような視線。

「白浜さんは逃げてなどっ」

「鳴海ィ、オメェはちょっと黙ってろ~」

「白浜さんを責め立てるのは見当違いだとっ」

「おい、聞こえなかったか?黙ってろって言ってんだ、鳴海」

「「「……っ」」」

わたしも亮くんも流星くんも息を呑んだ。違う、圧倒的にレベルが違うんだってそのプレッシャーから感じ取れる。

「答えろ、白浜。オメェはなんで逃げた」

逃げた。でも、逃げたわけじゃない。あの時はああするしかなかった、あの判断が正しいんだって、姫野さんの意志を汲んでって……そう思った。周りは誰も責めなかった、むしろ最善だったと称賛する者さえいた。

「ごめんな……さい。わたしが姫野さんを殺しっ」