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「オマエは仲間が託したもんを簡単に投げ捨てんのかよ」

違う、違う……違う!!

「助けられるのなら両方助けたい!!でも、そんなの無理じゃん!!だったら、だったら仲間を助けたい救いたいって思うのが当たり前じゃないの!?」

「その“仲間”がオマエに託したんだろうがよ。『多くを救ってやってくれって』……姫野さんはそうオマエに託したんじゃねーのかって聞いてんだよ」

「……っ、でも!!」

「姫野さんの意志を無下にすんなっつってんだ、クソガキ」

氷室先輩の表情がなぜかとても優しくて、それがどうしようもなく切なくて、悲しくて、苦しかった。

天秤に架けられた、救うべき者達。

選択を迫られていたわたしは“仲間”ではなく、“赤の他人”を選び、仲間に託された“意志”を尊重すると決めた。

この選択が、そもそもの間違いだったのかもしれない──。

「……っ、姫野さん……ごめんなさい……っ」

屋上で空を見上げながら、ただ目尻を伝って流れ落ちる涙。

「わたしのせいだ……っ、わたしがあの時判断を誤らなければ、姫野さんがこの世からいなくなるなんてそんなことっ……そんな選択しなくても済んだのに……っ。わたしが殺したんだ、わたしがっ……」

わたしはなにも知らず、最期まで姫野さんに守られていたんだ──。