それが姫野さんと姫野さんの同期の松下さん。わたしが任務へ行く時は必ずこの2人だった。わたしの護衛に付くということはかなりのやり手、要は“優秀”だということ。あの日、数十人の怪我人を治療中にわたしはXに狙われた。松下さんはヘルプ要請を受けて、わたしの護衛から一時的に外れていた。そこを狙ってきたんだと思う。
「白浜ちゃん、怪我人に集中して。貴女のことは必ず私が守るから。何があっても絶対に振り向いちゃダメよ」
わたしは姫野さんの言い付けを守って姫野さんに背を向け、ただひたすらに怪我人の治療に専念した。激しく争い合って姫野さんの苦しむ声が、生々しい音がわたしの手を震わせた。わたしの後ろで何が起きているのかなんて安易に想像がついた。
わたしはあの時、どうすればよかったの──。
「姫野!!!!」
松下さんの悲痛な叫び声を聞いて思わず振り向いてしまった。そして、わたしの視界に入ったのは血だらけになって倒れてる姫野さんで、特に下半身の怪我が酷い状態だった。駆け付けた松下さんがXを仕留めて姫野さんを強く抱きしめていたあの光景は、今でも忘れられない。
「──さん。ひ……めのさん……姫野さん!!」
たくさんの怪我人を放ったらかしにして、わたしは震えて力の入らない体で姫野さんのもとへ急いだ。わたしはあの時、数十人の怪我人より姫野さんを優先した。わたしはたくさんの人を見捨てようとした。いや、見捨てようとしたじゃない。紛れもなく見捨てたんだ。
姫野さんはたったひとりでわたしを守ってくれた恩人、今までもわたしを守ってきてくれた大切な仲間。そんな人を見捨てるなんて、わたしにはできなかった。たくさんの犠牲が出たとしても、たくさんの人に恨まれたとしても、わたしはなによりも姫野さんを助けたかった。この場で姫野さんが生き残ってくれさえすればそれでいいとすら思った。ただの感情論でしかないけど、わたしは正義のヒーローでもなんでもないから自分の感情を優先した。
「白浜ちゃん、怪我人に集中して。貴女のことは必ず私が守るから。何があっても絶対に振り向いちゃダメよ」
わたしは姫野さんの言い付けを守って姫野さんに背を向け、ただひたすらに怪我人の治療に専念した。激しく争い合って姫野さんの苦しむ声が、生々しい音がわたしの手を震わせた。わたしの後ろで何が起きているのかなんて安易に想像がついた。
わたしはあの時、どうすればよかったの──。
「姫野!!!!」
松下さんの悲痛な叫び声を聞いて思わず振り向いてしまった。そして、わたしの視界に入ったのは血だらけになって倒れてる姫野さんで、特に下半身の怪我が酷い状態だった。駆け付けた松下さんがXを仕留めて姫野さんを強く抱きしめていたあの光景は、今でも忘れられない。
「──さん。ひ……めのさん……姫野さん!!」
たくさんの怪我人を放ったらかしにして、わたしは震えて力の入らない体で姫野さんのもとへ急いだ。わたしはあの時、数十人の怪我人より姫野さんを優先した。わたしはたくさんの人を見捨てようとした。いや、見捨てようとしたじゃない。紛れもなく見捨てたんだ。
姫野さんはたったひとりでわたしを守ってくれた恩人、今までもわたしを守ってきてくれた大切な仲間。そんな人を見捨てるなんて、わたしにはできなかった。たくさんの犠牲が出たとしても、たくさんの人に恨まれたとしても、わたしはなによりも姫野さんを助けたかった。この場で姫野さんが生き残ってくれさえすればそれでいいとすら思った。ただの感情論でしかないけど、わたしは正義のヒーローでもなんでもないから自分の感情を優先した。



