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「ご、ご……っ、ごめ……はぁっ、はぁっ、ごめんなっ……さい」

呼吸は乱れてるのに頭の中では着実に全てが繋がっていく。

わたしは姫野さんに救われた、そして殺したんだ。

胸が苦しくて、息を吸っても吸っても上手く呼吸ができなくて、息苦しいのが治まらない。手足が痺れてきて感覚も失われていく。

「白浜さん。ゆっくり息を吐いて」

亮くんがゆっくりわたしへ手を伸ばしてくる。わたしはその優しい手を振り払ってしまった。

「……っ、触らないで」

こんなわたしに優しくしないで、触れないで。

「ごめん……っ、なさい。ごめんなさいっ……」

手足の感覚はほぼないけど、それでもわたしは教室を飛び出てがむしゃらに走った。逃げて、逃げて、逃げてきたくせに、またわたしは逃げることしかできない。

わたしはあの時、選択を間違えしまったのだろうか。

天秤に架けられて、わたしは選択を迫られていた。

1年前、地方を巡っていた議員がXの急襲を受け、民間人も巻き込む大惨事となった事件。多くの怪我人が出ているとのことで、そこへ派遣されたのは言うまでもなくわたしだった。わたしはSPとしての実力や教養があるわけではない。“治療専門”として存在してる。そしてなによりわたしは“特殊”で“必須”な存在。

『何があろうとも白浜千帆は死なせるな』それが上層部の考え。聞こえはいいかもしれないけど所詮はただの“道具”にすぎない。S専の上層部は根が腐ってる。SP達のことなんて金儲けの“駒”としか思ってないだろう。金儲けの“駒”を欠けさせるわけにはいかない。だから、わたしの存在意義が高まる。

そして、民間人をも救えば世間からの評判は爆上がり。S専にとってなにかと都合がいい。上の連中の考えなんて大概そんなもん。だからあの時もわたしの護衛に2人のSPが付いた。