切り込みを入れて血がポタポタ垂れていたはずの担任の腕はもう既に治っていて、もちろん噛まれたわたしの舌も既に治ってる。
「これは一体、どういうことですか」
「うぇっ!?な、なんで傷が治ってんだ!?」
亮くんと流星くんは驚きつつ、わたしと担任の顔を交互に見てただ唖然としていた。
「白浜はな、最強で稀少なんてもんじゃねぇんだよ。“自己治癒力”が桁違いに高ぇの。ま、“特異体質”ってやつだな。んで、その治癒力を他人に分け与えることができる“特殊能力”持ちってわけ」
流星くんと亮くんがゆっくりと顔を合わせて同時にわたしを見てくる。その表情は怯えているわけでも蔑んでいるわけでもない。『そんなの気にしない。君は君だろ』そう言われてるような気がした。こんなの都合よすぎるよね、本当に馬鹿みたい。
「だったら、さっきの鳴海の判断は間違ってなかったし、白浜の判断も間違ってはなかったってそういうことなんじゃないんすか。言い方悪いっすけど今までアンタら大人が白浜を利用してきたってことっすよね」
「櫻井の言う通りです。彼女は守られるべき立場なのでは?彼女が今までどれだけのっ」
「なぁ白浜……俺、アイツの同期なんだわ」
流星くんと亮くんの問い掛けなんてどうでもいいと言わんばかりに無視をして、わたしに放った『アイツと同期なんだわ』そう言った担任の声は素っ気ない。再び強くドクンッドクンッと脈打つ心臓。わたしを見るその眼差しは、酷く冷めている。
「姫野、俺の同期」
バクンッバクンッと心臓が悲鳴をあげて、口から飛び出そうだった。
わたしは、この人から大切な人を奪ってしまったんだ──。
「これは一体、どういうことですか」
「うぇっ!?な、なんで傷が治ってんだ!?」
亮くんと流星くんは驚きつつ、わたしと担任の顔を交互に見てただ唖然としていた。
「白浜はな、最強で稀少なんてもんじゃねぇんだよ。“自己治癒力”が桁違いに高ぇの。ま、“特異体質”ってやつだな。んで、その治癒力を他人に分け与えることができる“特殊能力”持ちってわけ」
流星くんと亮くんがゆっくりと顔を合わせて同時にわたしを見てくる。その表情は怯えているわけでも蔑んでいるわけでもない。『そんなの気にしない。君は君だろ』そう言われてるような気がした。こんなの都合よすぎるよね、本当に馬鹿みたい。
「だったら、さっきの鳴海の判断は間違ってなかったし、白浜の判断も間違ってはなかったってそういうことなんじゃないんすか。言い方悪いっすけど今までアンタら大人が白浜を利用してきたってことっすよね」
「櫻井の言う通りです。彼女は守られるべき立場なのでは?彼女が今までどれだけのっ」
「なぁ白浜……俺、アイツの同期なんだわ」
流星くんと亮くんの問い掛けなんてどうでもいいと言わんばかりに無視をして、わたしに放った『アイツと同期なんだわ』そう言った担任の声は素っ気ない。再び強くドクンッドクンッと脈打つ心臓。わたしを見るその眼差しは、酷く冷めている。
「姫野、俺の同期」
バクンッバクンッと心臓が悲鳴をあげて、口から飛び出そうだった。
わたしは、この人から大切な人を奪ってしまったんだ──。



